いももすのブログ

高校三年生が日記を書きながら書くブログ。

※ネタバレなし 愛をうたうRPG「MOTHER」の魅力〜システム編〜

 どうもこんにちは。いももすです。

 

 糸井重里さんが手掛けたRPGシリーズ第一作「MOTHER」の、システムの魅力についての記事です。まず「MOTHER」がなにかご存知ない方は下の記事から見ていただけると良いと思います。

 

imomosu.hatenablog.com

 

 「MOTHER」の特徴といえば、現代を舞台にしたことであると前の記事では述べました。それは何もストーリーのみで成り立っていることではありません。システムにも、「現代」という設定を活かすものがたくさん含まれています。今回はそれらを紹介していきたいと思います。

 

 1 「おとなしくなった」

 MOTHERは優しいRPGです。現代にRPGを当てはめるためには、敵にも工夫が必要でした。何の脈絡もなく最寄駅の前にオークは現れませんよね。そこで、MOTHERでは、敵が「何者かに洗脳されてしまったおじさんやおばさん、動物たち」となっています。序盤の敵はムカデ、おじさん、カラスなどなど。物語の黒幕が見え始めてくる中盤になると、次々と怪しげな敵が登場するようになります。

 でも、主人公が洗脳されたカラスやおじさんを殴り殺すところなんて、見たくないですよね。ドラクエシリーズなどでは、魔物に殺された旅商人のセリフなどで、魔物を殺すという行為に一つの説得性を持たせているのですが、それが「何者かに洗脳された悪くない人」に置き換わってしまうと、非常に後味が悪いわけです。そこで、MOTHERでは敵との戦いが終わったときには「○○をたおした」ではなく「○○はおとなしくなった」や「○○はわれにかえった」や「○○はポンコツになった」と表示されます。敵によっては「たおした」と表示されますが、それは悪い敵にかぎります。

 メッセージ一つ一つにまで工夫が施されていることには、当時多くのプレイヤーが驚いたのではないでしょうか。

 

 2 パパの存在

 RPGといえば、敵を倒すと発生するお金ですよね。MOTHERにも、アメリカの通貨「ドル」が通貨として登場します。価値は現実とは違うようですが…

 ドラクエなどでは魔物がゴールドを落としますが、MOTHERの舞台であるアメリカで、カラスやムカデがドルを落とす訳がありません。かといって主人公がおじさんをかつあげする姿なんて、見たくないですよね。どのようにお金を稼げばいいのでしょう。

 また、MOTHERはRPGなので、もちろんセーブが必要です。ドラクエだと王様に報告しますが、1988年のアメリカには王様はいません。どんなセーブの方法がとられているのでしょう。

 この2つを解決する存在が、「パパ」です。主人公の父親であるパパは、今回の冒険において様々な手助けをしてくれます。

 パパは主人公の家にはおらず、遠くのどこかにいるという設定です。映画「ET」の父親をイメージすれば良いでしょうか。

 そんなパパに公衆電話から電話をかけると、「あ、パパだ。」と、通話が始まります。

 「○○のぎんこうこうざに、△△ドルふりこんでおいたよ。」

 そうです。そうなんです。パパが、主人公が戦った分だけお小遣いを振り込んでくれるのです。ちょっとずれてる感じがしないこともないですが、かつあげよりかはマシです。お小遣いは、デパートにあるキャッシュディスペンサーから、キャッシュカードを使って引き出すことができます。

 レベルアップまでの経験値を教えてくれたあと、

 「きろくする」

 を選ぶと、パパがセーブをしてくれます。

 「そうか。パパも もう きょうは やすもう と おもってたところだ。ぼうけんのきろく は つけといたよ。」

 パパのセーブを初めてみたとき、本当に驚いたのを覚えています。「こういう風に現代に置き換えられるんだ」と。余談ですが、同じく現代を舞台にしたRPGで、女神転生(スーファミ)がありますが、これのセーブはパソコンですね。各々の工夫があったんですね。

 「おやすみ…」

 「つづける」

 「○○もママに にて がんばりや だなぁ。むりするなよ。ガチャン ツーツーツー。」

 

  3 シームレス移動

 MOTHERの特徴の一つは、等身大の物語であることです。自分たちと何も変わらないような少年少女が旅に出て、成長していく。そんな「等身大の冒険をしている」という感覚をより強く感じるのが、フィールド間のシームレス移動です。

 ドラクエ3を例に挙げてみると、舞台は世界中に広がっています。そのため、フィールド画面を世界地図で表して、その上に町や洞窟のシンボルを置き、たどり着くと街や洞窟のマップに切り替わる、という方式をとっていました。勇者が世界を股にかけて旅をするような、ドラクエ3ではこの方式は正解です。

 しかし、MOTHERの舞台は現代アメリカの片田舎で、主人公は等身大の少年少女です。この独特の設定を生かし、プレイヤーに「冒険している」感覚を味わってもらうには、世界地図で表す方法は少し違う気もします。そこでMOTHERでは、町とフィールド画面がそのまま地続きになっているという、シームレス方式をとっています。

 MOTHERシリーズにおいてシンボルで街が表示されることはありませんが、2と3は町とそれ以外の間でマップ移動があるため(3に関しては「街」という概念がない)シームレス感は薄れています。しかし、1は中盤に訪れる町を除くと、ゲーム中訪れる場所のほとんどが一つの巨大なマップに収まっていて、なんなら家からラストダンジョンまでマップ移動なしで一直線に歩けます。

 これはかなり楽しいです。なんで2以降なくなってしまったのか不思議です。映画「スタンドバイミー」を思い出していただけたらわかるかもしれませんが、あれの最後の方のシーンで、不良グループが車に乗って、少年たちがすごい時間かけてたどり着いた場所にすぐに着いちゃうシーンありますよね。あれです。「実際はそんなに壮大な距離を進んだわけじゃないだろうけど、僕たちにとっては大冒険」みたいな感覚。あの感覚を味わえます。この感じって少年少女のジュブナイルものだからできることですよね。ちょうど上を歩いて欲しそうな線路も敷いてありますしね。

 

 いかがでしたでしょうか。このような、設定を上手く生かした個性的なシステムが、MOTHERの魅力の一つでもあります。

 次回は、MOTHERの音楽についての魅力を書いていこうと思います。お疲れ様でした。

 

 ガチャン ツーツーツー。